西Hide Design & Art Work Collection

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「アジャイルUXの潮流」の衝撃

Category : blog · by 4月 10th, 2015

以前エンタープライズ・ジンにて2010年10月から連載されていたWeb記事「アジャイルUXの潮流 ~ 米国発アジャイル開発の新しい波、只今日本に接近中!?」これを読んで私のゲーム制作の進め方、ユーザインターフェイス設計の考え方が大きく変わりました。正に目から鱗です。それまではディレクターまたはプランナーから提示された仕様書に基づいて、感覚、経験則、トライ&エラーで制作していたのだけれども、それだけでは効率良く楽しくて遊び易いコンテンツは作れないということを理解できました。その事実に気づき、樽本徹也(著)の書籍を速攻で購入し読書が遅いワタクシですが一気に読みました。

20150410-1・アジャイル・ユーザビリティ ―ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング
 ISBN-13: 978-4274211607
・ユーザビリティエンジニアリング―ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック
 ISBN-13: 978-4274201448
/ いずれも樽本 徹也 (著)

ここにご紹介したWeb記事と書籍を読む、読まないとでは、その後に制作するコンテンツのクオリティには大きな差がつくのは間違いありません。これはゲームやWEBに留まらず、様々な工業製品のデザインやサービスの質にも関連してくるもので、ジャンルは問わないと断言します。

恥ずかしながらワタクシの例を白状しますと、iOSヒューマンインターフェイスガイドラインに書かれている内容を

  • 読む前・・・ふ~ん、こんな感じかぁ
  • 読んだ後・・・良いインターフェイスを作る答が全部書いてあるじゃん!

というくらい理解度が変わったのです!(おぉ恥ずかしい)。

「アイコンのサイズはこれくらいにすればイイのね」程度だったのが、「なぜAppleがそうするようにマニュアルに記述しているのか?」その本質的な部分を理解できるようになりました。おかげ様で、その後制作したコンテンツは得られた知識を活用して

  • ユーザビリティの面で大きな穴が開いているのが後になって発覚→修正コストが増大する
  • インターフェイスについて議論が限りなく続く

といったような時間的な無駄や精神的な消耗が確実に減りました。また他のチームが制作したコンテンツについても的確な評価・アドバイスができるようになり、組織全体の制作クオリティ向上に微力ながら貢献できたのではないかと思います。

目に見えない感覚的なものゆえに理解されにくい知識的な技術ですが、その価値はとても大きいもので、だからこそAppleをはじめアメリカの大手企業はそのことをしっかり踏まえたモノ創りをしているのだと思います。


では我が日本の商品はどうでしょうか。小回りの効く企業はそこを重視するようになってきたように見受けられますが、ハッキリ申しますと大きな企業はまだまだという印象です。

高機能ですし製品自体のクオリティは高いです。世界中見渡しても断トツレベルです。だけど残念ながら、使いづらい、分かりづらい、分厚いマニュアルを読まないと使えない、かゆいところに手が届かない操作性など・・・ネガティブ要素が多々あります。そしてこの弱点を他国企業に突かれて、相対的に日本の製品が劣勢に立たされているのです。

例えば白物家電の代表格である冷蔵庫。我が家では昨年10年ほど使っていたモノが壊れてしまい買い換えたのですが、ドアに付いているボタンの機能、意味がイマイチ分かりづらく、マニュアルをめくってようやく理解しました。この手の電子機器に不慣れな方や、触ることすら恐がるご年配の方にとってはハードルが高すぎます。

あるいはスマートフォン。ご年配の方でもフューチャーフォンなら「電話を切る」キーを押せば、画面が明るくなって操作できることを理解できます。しかしスマートフォンではどこを押して良いか分からない、さらに押せても画面のロック解除ができない、ということが実際に起きます。良く考えられているiPhoneでさえもまだまだ改善の余地があります。OSの更新なんて黙ってやってほしいですし、機種交換の際にアドレスデータが誤って飛んでしまう、などという笑えない話もしばしば聞きます(ワタクシも一度やった)。だから店頭に商品知識豊富な販売員が必要なのです。


国内外のユーザビリティエンジニアの権威は「使えない商品は捨てられる」「ゴミだ」とバッサリ言い切ります。私も同感です。今や分厚いマニュアルを同梱するのは、開発者側にとっての保険・言い訳でしかないと考えを改めるべきでしょう。

ぶっちゃければユーザーは面倒臭くてそんなモノ読みたくありません。というかまず読みません。触ったら直感的に分かるものを求めているのです。

そもそも昨今の世の中は、様々な情報が溢れすぎていて、もはや人間が記憶できるキャパシティを超えております。だからこそ、ユーザーに覚える労力を過度に課さないようにすることが、クリエイターの責務だと感じております。

そしてこれらの姿勢・知識はクリエイターだけではなく、むしろ制作したコンテンツや製品のジャッジを下す責任者こそが持つべきものでしょう。

日本の製品が再び世界のトップになるカギはここにあると思います。

ではまた。


< 参 考 >

★ユーザビリティ、UXの理解を深められるサイト→U-site

★Googleで「GIGAZINE、UX、ユザービリティ」といったキーワードで記事を検索するのも大変参考になります。

★樽本さんの新作も出版されています。


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